マイクロピッチング評価

転がり疲労 耐ピッチング性評価
転がり摩擦摩耗試験機 MPT-3000

序論

現在、環境問題を背景に電気自動車の普及が進んでいます。
従来の内燃機関から電動機への切り替わり、減速機の高速運転が求められています。 自動車トランスミッションの疲労損傷については、
歯車表面に微小なピッチングやピッチングが見られます。ピッチングとは、歯車の歯元付近に目で確認できる穴状の大きな傷のことです。マイクロピッチングとは、この写真のように曇った状態に見える微細なピッチングのことです。マイクロピッチングの大きさは目では確認できません。

マイクロピッチング

特にマイクロピッチングに関して、マイクロピッチングは、微細な表面ピットの存在と、局所的な塑性変形および浅い表面亀裂の発生を特徴とします。ピッチングはマイクロピッチングから発生するため、ピッチングを抑制するにはマイクロピッチングを抑制することが重要です。図 1 は WLI 顕微鏡で撮影したもので、マイクロピッチングと呼ばれる亀裂や窪みがいくつかあります。

ピッチング試験機 (MPT-3000)

私たちアールテックでは、このようなピッチング摩耗の実験試験機として、3円筒試験機(MPT-3000)を開発しました(図2)。
2000Nまで対応できる標準タイプと5000Nまで対応できる高荷重タイプの2種類があり、SRRは0~最大±200%、引込速度は5.5m/sです。 この高荷重システムにより、高い表面ヘルツ圧力での線接触試験が可能になります。

試験条件

三円筒試験機(MPT-3000)を使用し、EVギヤオイルを使用し、3種類のスリップ率条件(-0.5%、-2%、-5%)で転がり疲労接触試験を実施しました。 SRR が負の値は、外側のローラーの速度がセンター ピンよりも速いことを意味し、回転方向と摩擦方向が同じになります (図 3)。
試験片の材質は歯車に広く使用されているSCM420を使用しました。 センターピンの表面粗さはRz=0.8μm、外側ローラーの表面粗さはRz=2.0μmです。

潤滑油 EVギア油
湯量 90
温度 60℃
試験時間 1.5時間
引込速度 3 m/s
接触回数 1,280,000回(三点合計)
SRR -0.5%, -2%, -5%
加重 1638N
最大面圧 3.50 (MAX) GPa

試験結果

図 7 は、試験片の表面プロファイリングの結果です。
EVギヤオイル潤滑による各SRR値試験後の高さ情報の試験片表面画像を示します。 形や面積は異なりますがすべてのSRRにて亀裂やピットがいくつか見つかりました。

図8は、各スリップ率で取得された4つの画像表面から計算されたマイクロピッチングのサイズと深さです。
SRR が -5% のとき、マイクロピッチング損傷面積と体積率はともに最大となり、-0.5% と -2% の間では大きな差はありませんでした。

まとめ

各SRR値(-0.5%、-2%、-5%)でマイクロピッチングを確認しました。サイズと深さは、各SRR値の間で異なります。
試験者が短時間でマイクロピッチングを評価できる(加速試験)試験機であることが確認できました